第32回城島酒蔵びらき開催概要と歴史的背景
福岡県久留米市城島町では、2026年2月14日(土)・15日(日)の2日間にわたり、「第32回城島酒蔵びらき」が開催されます。このイベントは、毎年10万人を超える来場者で賑わい、今や九州を代表する酒蔵イベントの一つとして広く認知されています。今年は、城島町を中心とする8つの酒蔵が集結し、その中には大善寺町の「鷹正宗」と大川市の「若波酒造」が初参加として名を連ね、城島の酒文化のさらなる広がりを示しています。
「城島酒蔵びらき」の歴史は、単なるイベントの開催に留まらず、城島町が育んできた酒造りの歴史と深く結びついています。この祭りは、地域の伝統と人々の情熱が織りなす物語であり、その軌跡をたどることで、地域活性化への深い貢献が見えてきます。

「東の灘、西の城島」と称された酒どころの歴史
城島町の酒造りの歴史は、江戸時代にまで遡ります。この地は、筑紫平野がもたらす良質な米と、耳納連山を源とする豊かで清らかな水という、酒造りに不可欠な二つの恵まれた自然条件に恵まれていました。これらの条件のもと、城島では代々にわたり酒造りの技術が継承され、その文化が脈々と育まれてきました。
明治時代以降、城島の酒造業はその勢いをさらに加速させます。城島をはじめとした三潴地区には次々と酒蔵が誕生し、最盛期の明治31年には、実に85もの酒蔵が存在していました。当時の生産量は5万2千石に達し、城島はいつしか「東の灘、西の城島」と称されるほどの隆盛を誇る酒どころとして、その名を全国に轟かせました。
隆盛を極めた蔵元は、単に酒を造るだけでなく、地域の発展にも多大な貢献を果たしました。港や鉄道、水道といった社会インフラの整備に深く関与したほか、銀行の設立や学校の誘致など、地域の基盤を築く上で中心的な役割を担いました。酒造業が城島の主要産業として地域経済を支え、城島の未来を築き上げていったのです。この歴史的背景が、現在の「城島酒蔵びらき」の精神的基盤となっています。

一軒の酒蔵から始まった「城島酒蔵びらき」の誕生
時代は移り、1990年代。バブル経済の崩壊後、日本は長期にわたる経済的な停滞期に突入し、多くの地域が活力を失いつつありました。このような状況下で、「この町を元気にしたい」という強い想いを抱き、立ち上がった一軒の酒蔵がありました。それが、かつて山ノ井川沿いに蔵を構えていた「有薫酒造」です。
「有薫酒造」は、町内の他の酒蔵や地域の商店に積極的に声をかけ、地域全体を巻き込む形での町おこしイベントを企画しました。これが、今日まで続く「城島酒蔵びらき」の原点となります。当時の取り組みは画期的なものでした。「1つの蔵で他の蔵の酒も一緒に売る」という形式は、業界内でも極めて珍しく、その先進性が業界紙にも取り上げられるほどでした。しかし、当初のイベントには「酒蔵びらき」という明確な名称すらなく、その規模も決して大きなものではありませんでした。
当時の運営状況について、前実行委員長の上野氏の言葉からは、商工会からの補助金はわずかであり、ほとんどが「手弁当」で運営されていたことが伺えます。そこにあったのは、経済的な利益追求よりも、「自分たちの手で地域を盛り上げたい」という純粋でまっすぐな情熱でした。この一軒の酒蔵の小さな挑戦が、現在の大規模な祭典へと繋がる大きな一歩となったのです。

人々の想いが繋いだ祭りの発展と困難の克服
「城島酒蔵びらき」は、人々の熱い想いに支えられ、回を重ねるごとに来場者数を増やし、その規模を拡大していきました。平成21年(第15回)には、イベントの成長に対応するため、メイン会場を「町民の森公園」へと移転しました。この頃には、単なる地域イベントの枠を超え、多くの注目を集める存在となっていました。
その人気を示す象徴的な出来事として、普通電車しか停車しない西鉄三潴駅に、特急電車が臨時停車するという異例の対応が実施されました。これは、イベントが地域にもたらす経済効果と集客力が鉄道会社にも認められた証であり、その影響力の大きさを物語っています。その後も勢いは止まらず、平成26年(第20回)からは、さらに多くの来場者に対応するため、開催期間を2日間に拡大。名実ともに久留米を代表する祭りの一つへと成長を遂げました。
しかし、祭りの道のりは常に順風満帆ではありませんでした。令和3年には、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、開催直前まで準備が進められていたにもかかわらず、やむなく中止の決断が下されました。この困難な状況においても、祭りの灯が消えることはありませんでした。城島酒蔵びらきの開催と存続を願う有志の人々がアイデアを出し合い、コロナ禍でも安全に開催できる方法として、ドライブスルー形式での開催を実現しました。
当時の状況について、実行委員会の関係者は、「このときは、城島酒蔵びらき実行委員会の主催ではありませんでしたが、『城島酒蔵びらき』の名前を使わせてほしいと言ってくれたんです。私たちも、何とか開催できないかという葛藤があったので、ぜひ使ってほしいと承諾しました。おかげで、このイベントを途切れずに続けることができました」と振り返っています。この出来事は、人と人との強い絆と、祭りを未来へ繋ぎたいという共通の願いが、困難を乗り越える原動力となった瞬間を象徴しています。

第32回城島酒蔵びらきの見どころ
来る第32回「城島酒蔵びらき」では、歴史と伝統を重んじつつ、新たな魅力も加わった充実した内容が予定されています。今年は、城島町を中心とした8つの酒蔵が一堂に会し、各蔵が丹精込めて醸し上げた銘酒の数々を堪能できる貴重な機会が提供されます。
特に注目されるのは、大善寺町の「鷹正宗」と大川市の「若波酒造」が今回初めて参加することです。これにより、城島地域の酒文化がさらに多様な広がりを見せ、来場者はこれまで以上に幅広い銘柄の日本酒と出会うことができるでしょう。蔵ごとに異なる水、米、そして杜氏の技と哲学によって生み出される個性豊かな酒を、心ゆくまで飲み比べできるのは、このイベントならではの醍醐味です。
また、新企画として、8蔵すべての酒を一度に味わえる特別セット「城島∞(エイト)」が登場します。これは、参加蔵元の多様性を象徴する企画であり、それぞれの蔵の個性を比較しながら楽しむことができる、日本酒愛好家にとって魅力的な試みと言えます。さらに、一部の蔵元では酒蔵見学が実施され、酒造りの工程や歴史に触れることができます。会場では、地域物産の販売や、趣向を凝らしたステージイベントも開催され、五感すべてで楽しめる2日間となることが期待されます。

未来へ続く「城島酒蔵びらき」の展望
「城島酒蔵びらき」は、単なる季節のイベントとしてではなく、地域の未来を創造する重要な役割を担っています。江上実行委員長は、「日本一の酒蔵びらきにしたいですね。このイベントをきっかけに、地域の魅力を知ってもらい、何度も足を運んでもらいたい」と語っています。この言葉からは、イベントを通じて城島町の魅力を全国に発信し、持続的な地域活性化へと繋げたいという強い覚悟が滲み出ています。
また、運営側の高齢化という課題に対し、次世代への継承が重要であるとの認識が示されています。伝統を守りつつも、時代に合わせた変化を取り入れる柔軟な姿勢が求められていると言えるでしょう。江上委員長は、「通年での取り組みなど、新しいアイデアも積極的に採用し、いい意味で変わっていくことが必要だと考えています」と述べており、イベントのさらなる発展に向けた意欲的な姿勢が伺えます。
かつて城島の酒造りがこのまちを育み、産業と文化の礎を築いたように、現在「城島酒蔵びらき」というイベントが、地域の人々の想いと努力によって、城島町の新たな未来づくりに挑戦しています。この祭りは、過去から現在、そして未来へと続く、地域文化の継承と発展の象徴であり続けるでしょう。
第32回城島酒蔵びらき 開催概要
日時:2026年2月14日(土)・15日(日) 9:30~16:00
場所:
<メイン会場>町民の森公園(福岡県久留米市城島町楢津764)
参加蔵元:
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旭菊
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池亀
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鷹正宗
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筑紫の誉
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比翼鶴
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瑞穂錦
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杜の蔵
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若波
主催:城島酒蔵びらき実行委員会
共催:久留米市、久留米南部商工会、久留米南部観光物産振興会
公式サイト:
https://nanbu-shoko.jp/sakagura/
SNS:
問い合わせ:
城島酒蔵びらき実行委員会事務局(久留米南部商工会内)
TEL:0942-64-3649
FAX:0942-64-4850
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