menu

スナック六組

福岡市博多区中洲2丁目5−5
中洲第一ビル5階

TEL.092-282-7600

博多の新成人58名が水炊きを体験、郷土料理継承への新たな一歩と課題が浮き彫りに

新成人水炊き会、参加者増加と世代間ギャップの顕在化

2026年1月13日、福岡市博多区の「博多水炊き とり田 博多本店」において、「新成人水炊き会 2026」が開催されました。このイベントは、博多の代表的な郷土料理である水炊きを、新たに成人を迎える福岡県在住の若者に体験してもらうことを目的としており、58名が参加しました。ウェルカムドリンクとして福岡・八女の「星野製茶園」の水出し八女茶が提供されるなど、細やかな配慮がなされた会となりました。

本企画は2024年に初回が開催されて以来、今回で3回目を迎えます。初回から3年間の参加者数は以下の通りです。

開催年 参加者数
2024年 30名
2025年 30名
2026年 58名
累計 118名

3年目の開催では、参加者数が初回の約1.9倍に増加し、本取り組みの認知度が着実に向上していることが示されました。一方で、参加者の大半が「水炊きを食べたことがない」と語るなど、博多を代表する食文化が若い世代に浸透していない現状が改めて浮き彫りになりました。参加者からは「生まれも育ちも福岡なのに、水炊きを知らなかった」「家族で食べに来たい」「こんなに美味しいとは思わなかった」といった声が寄せられ、郷土料理との出会いが感動を伴うものであったことが伺えます。

当日の様子は、公式YouTubeチャンネルで公開されています。

開催レポート動画

鍋を囲む食事風景

博多の食文化を次世代へ繋ぐ「種まき」としての意義

「博多水炊き とり田」を運営する株式会社studio092の代表取締役である奥津啓克氏は、この「新成人水炊き会」を継続する理由について深く言及しています。奥津氏は、「100年続く店をつくるには、今の20歳が40歳、60歳になった時に『あの店がある』と思ってもらえることが必要です」と述べ、短期的な利益追求に留まらず、長期的な視点での文化継承の重要性を強調しました。さらに、「この街の食文化を次世代につなぐ”種まき”が、私たちの使命だと考えています」と語り、本活動が単なるイベントではなく、地域社会への貢献と未来への投資であるとの認識を示しました。

乾杯する参加者たち

奥津氏は、3年目で参加者が倍近くに増えたことを取り組みの広がりを示す証と捉えつつも、「ほとんどの参加者が水炊き未経験という現実にも向き合わなければなりません」と、依然として存在する課題を直視する姿勢を見せています。そして、「4回目以降も継続し、博多の食文化を守り続けます」と決意を表明しており、今後もこの活動が継続されることが期待されます。

笑顔で鍋を取り分ける店員

4回目以降に向けた構想と未来への展望

「博多水炊き とり田」では、この新成人水炊き会をさらに発展させるべく、4回目以降の開催に向けて具体的な構想を検討しています。その一つとして、「水炊き大使」制度の創設が挙げられます。これは、水炊きを体験した新成人が、その魅力を友人や家族に伝える役割を担うことで、博多の食文化の伝播を促進する仕組みです。

また、水炊きに限定せず、博多や福岡全体の食文化を守る取り組みへと拡大するため、福岡の伝統企業との連携も視野に入れています。これにより、地域全体で伝統文化を支え、次世代へと繋ぐ動きが加速する可能性を秘めています。最終的には、「成人の日=郷土料理を知る日」という新たな文化を福岡に根付かせ、成人の日の過ごし方として定着させることを目指しています。これらの構想は、水炊き体験をきっかけに、若者が自らの郷土文化に誇りを持ち、その継承に主体的に関わる未来を描いていると言えるでしょう。

鍋を囲む若者グループ

「博多水炊き とり田」のこだわりと理念

「博多水炊き とり田」は、創業以来「博多の食文化を次の世代へつなぐ」という理念を掲げ、「伝統をすすめる」「100年続く店づくり」をテーマに活動しています。博多水炊きは、その歴史と独特の調理法により、博多を代表する郷土料理として知られています。しかしながら、今回の新成人水炊き会で明らかになったように、若い世代の中にはその魅力を未だ知らない人も少なくありません。こうした現状に対し、とり田は毎年1月に新成人を招待する形式でイベントを開催し、自らの街の食文化を知る貴重な機会を提供しています。

とり田が提供する水炊きは、その品質とこだわりにおいて特筆すべき点が多くあります。九州産の身のついた丸鶏と水のみで丁寧に煮込まれたスープは、濃厚でありながら滋味深い「黄金スープ」と称されます。このスープは、鶏本来の旨味が凝縮されており、水炊きの根幹をなす要素です。使用される鶏肉も九州産にこだわり、その瑞々しい肉の旨味が最大限に引き出されています。

さらに、その味わいを一層引き立てるために、オリジナルの薬味が開発されています。完熟した九州産の黄柚子でつくられた柚子胡椒と、鰹・昆布・干し椎茸の出汁と橙酢で仕上げられた「黄金のぽん酢」は、濃厚なスープとの絶妙な調和を生み出します。器にもこだわりが見られ、有田焼、波佐見焼、伊万里焼といった日本の伝統的な陶磁器が使用されており、料理の味覚だけでなく、視覚からも博多らしい上質さが追求されています。

食事を楽しむ若者たち

現在、「博多水炊き とり田」は博多本店と薬院店の2店舗を展開しており、その味と「おもてなしの心」を全国に届けるため、公式オンラインショップ『とり田のお取り寄せ』(https://www.toriden-gift.com/)も運営しています。これにより、店舗に足を運ぶことが難しい人々も、自宅で本格的な博多水炊きを楽しむことが可能となっています。

店員が鍋を取り分ける様子

株式会社studio092:福岡発のクリエイティブカンパニー

「博多水炊き とり田」を運営する株式会社studio092は、2012年に設立された福岡発のクリエイティブカンパニーです。代表取締役の奥津啓克氏が率いる同社は、「世界に笑顔と感動を」を企業理念に掲げ、飲食、空間、ホスピタリティの各領域を横断しながら、“心に残る体験”をプロデュースしています。この多角的な事業展開は、単なる飲食店の経営に留まらず、人々に豊かな体験を提供し、社会全体に貢献しようとする同社の強い意志を反映しています。

同社の公式サイト(https://studio092.com/)では、その幅広い活動内容が紹介されています。飲食事業においては、「博多水炊き とり田」の他、以下のような多様な系列店舗を展開しています。

物販事業としては、「博多水炊き とり田公式オンラインショップ『とり田のお取り寄せ』」(https://www.toriden-gift.com/)を展開し、全国へ博多の味を届けています。Instagram(https://www.instagram.com/toriden_online/)でも情報発信を行っています。

これらの事業を通じて、株式会社studio092は、福岡の魅力を発信し、地域経済の活性化にも貢献しています。特に「新成人水炊き会」のような文化継承活動は、その企業理念を具現化する重要な取り組みとして、今後もその動向が注目されるでしょう。

鍋料理の食卓風景

郷土料理継承への継続的な挑戦

「新成人水炊き会」は、単なる飲食イベントに留まらず、博多の食文化を次世代に繋ぐという明確な使命を帯びた活動です。参加者数の増加は、本イベントへの関心の高まりを示しているものの、水炊き未経験者の割合が高いという事実は、郷土料理と若年層との間に存在する距離を改めて浮き彫りにしました。この課題に対し、運営側は「水炊き大使」制度や他企業との連携、さらには「成人の日=郷土料理を知る日」という文化の定着を目指すなど、多角的なアプローチで解決を図ろうとしています。

株式会社studio092と「博多水炊き とり田」によるこの継続的な挑戦は、地域文化の保護と発展にとって極めて重要な意味を持ちます。郷土料理が世代を超えて受け継がれることで、地域のアイデンティティが強化され、未来の世代にも豊かな食文化が享受されることが期待されます。この取り組みが、福岡県内のみならず、他の地域における伝統文化継承活動のモデルケースとなる可能性も秘めているでしょう。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。