menu

スナック六組

福岡市博多区中洲2丁目5−5
中洲第一ビル5階

TEL.092-282-7600

九州産業大学とセブン-イレブン・ジャパンが包括的連携協定を締結、「作りたてのおいしさ」と「ロス削減」を推進

連携協定の背景と目的

現代社会において、食品の安全性確保と食品ロス削減は、消費者ニーズの高まりと環境問題への意識向上から、喫緊の課題として認識されています。セブン-イレブン・ジャパンは、全国に広がる店舗網を通じて、安全でおいしい食品を安定的に供給する責任を担っています。一方、九州産業大学は、長年にわたり学術研究を通じて社会貢献を目指しており、特に生命科学部の中山素一教授(食品安全学)は、食品に影響を及ぼす微生物の迅速かつ正確な同定技術の開発に尽力してきました。

今回の連携協定は、両者がそれぞれの強みを持ち寄り、食品産業が直面するこれらの課題に対して、革新的な解決策を社会実装することを目的としています。具体的には、中山教授の先進的な「微生物同定技術」をセブン-イレブン・ジャパンの食品製造プロセスに導入することで、商品の「長鮮度化」を推進し、結果として食品ロス削減に貢献することを目指します。

核となる技術:九州産業大学 中山教授の微生物同定技術

本連携協定の核となるのは、九州産業大学が所有する質量分析計「MALDI-TOF MS(マルディー-トフ マス)」を用いた、中山素一・生命科学部教授の「微生物同定技術」です。この技術は、食品に影響を及ぼす菌の種類を特定するもので、その最大の特長は、解析の「スピード」「コスト」「精度」において画期的な進歩をもたらす点にあります。

MALDI-TOF MSの概要と特長

MALDI-TOF MSは、微生物のタンパク質を解析することで、その種類を迅速に特定できる装置です。中山教授は、このMALDI-TOF MSを活用して菌の遺伝子解析を行い、その特徴をデータベース化する研究を進めてきました。従来の微生物同定法では、1検体の特定に数週間を要することが一般的でしたが、MALDI-TOF MSを用いることで、この時間をわずか数時間にまで短縮することが可能となります。

MALDI Biotyper sirius装置による微生物同定の概念図

さらに、1検体あたりの検査費用も、従来の約5万円から8万円に対して、2千円から3千円へと大幅に削減されます。これにより、食品製造工場における微生物検査の頻度を上げることが可能となり、より網羅的かつ経済的な衛生管理体制の構築が期待されます。また、菌の発生経路を明確に特定できるため、これまで追跡が困難であった汚染源を突き止め、確実な対策へと繋げることが可能となります。

中山教授は、この技術の社会実装を目指し、産学連携の「MALDI-TOF MS微生物同定コンソーシアム」を設立して研究を進めており、その功績は内閣府「第7回オープンイノベーション大賞」で農林水産大臣賞を受賞するなど、高く評価されています。

包括的な連携協定の4つの柱

今回の包括的な連携協定は、単なる技術導入に留まらず、多岐にわたる活動を通じて持続可能な社会の実現を目指すものです。以下の4つの柱を中心に活動が展開されます。

(1) 研究の発信

セブン-イレブン・ジャパンは、中山教授の研究領域に関して、その成果を広く社会に周知するための広報支援を行います。これまでに、2026年5月にはセブン&アイ・ホールディングスの「株主通信」で特集記事が掲載され、約29万部が発行されました。今後も、様々なメディアを活用し、先進的な取り組みとその成果を対外的に発信していく方針です。

食品衛生の高度化によりかつ丼の鮮度を延長する取り組みについて解説する記事

(2) 研究の相互協力

両者は、MALDI-TOF MS技術を基盤とした研究協力体制を強化します。中山教授が構築した菌の同定データベースと、工場内の微生物汚染源を迅速に特定できる仕組みは、セブン-イレブン・ジャパンの食品製造工場における衛生管理レベルの向上に直結します。

具体的には、「菌の同定(特定)精度の向上」「微生物汚染源の迅速特定」「衛生管理レベルの向上」「安定性を担保した鮮度の延長」といった領域で、相互に協力し、食品の品質と安全性を高めるための研究を推進します。これにより、作りたてのおいしさを維持しつつ、商品の鮮度を保つ「長鮮度化」が加速されることになります。

(3) 学生の教育

次世代を担う人材の育成も、本協定の重要な柱の一つです。セブン-イレブン・ジャパンは、大学の教育に貢献するため、「食の安全・安心」をテーマにした講義や演習、さらには実際の食品製造現場の見学といった取り組みを提供します。学生たちは、最先端の技術と実践的な知識を学ぶ機会を得ることで、将来の食品産業を支える専門家としての資質を高めることが期待されます。

教室で教師が学生たちに講義をしている様子

(4) 社会連携

地域社会への貢献も視野に入れ、「食の未来を考える」をテーマに、成果報告会などのイベントを共催します。すでに2026年1月には、中山教授やセブン-イレブン・ジャパンの社員が登壇するイベントが九州産業大学で開催され、新技術を活用した社会課題の解決に関する実践が報告されました。このような活動を通じて、地域住民や関係機関との連携を深め、食に関する社会全体の意識向上と課題解決に貢献していきます。

連携協定締結式の集合写真

実践事例:「チルド弁当 味しみロースかつ丼」の消費期限延長

今回の包括連携協定に先立ち、2025年にはセブン-イレブン・ジャパンと中山教授の協力により、具体的な成果が生まれています。自社製品である「チルド弁当 味しみロースかつ丼」の消費期限を1日延長することに成功しました。

成功までのプロセス

この成功は、製造を担うわらべや日洋食品株式会社の協力を得て、工場内で約5,000件に及ぶ綿棒によるふき取り調査を実施した結果です。MALDI-TOF MSを用いて、どこにどのような菌が存在するのかを徹底的に調査し、食品に影響を及ぼす菌の場所をピンポイントで特定しました。この詳細なデータに基づき、衛生管理の強化と環境整備を徹底的に行ったことが、鮮度延長へと繋がりました。

湯気が立ち上る温かいカツ丼

技術導入による3つのメリット

MALDI-TOF MSを用いた試験方法が有効に機能したことで、以下の3つの大きなメリットが明確になりました。

  • スピード: 1検体あたり数週間かかっていた検査時間を、わずか数時間に短縮。

  • コスト: 1検体あたりの検査費用を、従来の約5万円~8万円から2千円~3千円へと大幅に削減。

  • 精度: これまで追跡が困難であった菌の発生源やルートを明確に特定し、確実な対策へと繋がる。

これらのメリットは、食品製造現場における衛生管理の効率を飛躍的に向上させ、より安全で高品質な食品の提供を可能にするだけでなく、食品ロス削減にも大きく貢献します。

関係者コメント

九州産業大学 生命科学部 中山 素一教授

中山教授は、九州産業大学の建学の理想である「産学一如(さんがくいちにょ)」、すなわち産業界と大学が一体となり社会のニーズに応えるという理念が、今回の連携協定を通じて具体的に実現されたことへの喜びを表明しました。自身のMALDI-TOF MS技術が、セブン-イレブンを通じて全国の消費者に「食」を届ける現場で社会実装され、商品の長鮮度化や食品ロス削減に結びついたことは、大きな成果であると述べています。今後は、学生への教育や地域連携も含め、食の未来を共創できることに期待を寄せています。

セブン-イレブン・ジャパン QC部 総括マネジャー 斉藤 俊二

スーツ姿で話す斉藤俊二総括マネジャー

斉藤総括マネジャーは、おいしさと安全・安心が常に表裏一体であるというセブン-イレブン・ジャパンの基本姿勢を強調しました。過剰な加熱を排し、家庭の味そのままに長鮮度化を成し遂げるためには、中山教授の最先端分析技術が不可欠であったと語っています。今回の協定を契機に、食の安心・安全を次世代につなぐ講義や、パートナー企業、地域の方々との協力を通じて、より持続可能な社会づくりに貢献していく意向を示しました。

九州産業大学について

九州産業大学のロゴ

九州産業大学は、1960年に設立された私立総合大学で、福岡市東区松香台に位置しています。建学の理想として「産学一如」を掲げ、産業界と大学が一体となり、社会のニーズに応える人材育成・教育を目指しています。文系、理工系、芸術系の10学部を擁し、多岐にわたる分野で教育研究活動を展開しています。

まとめ:協定がもたらす未来

九州産業大学とセブン-イレブン・ジャパンの包括的な連携協定は、単一企業や単一機関では解決が困難な社会課題に対し、産学が連携することで新たな価値を創出する好例です。中山教授の革新的な微生物同定技術「MALDI-TOF MS」の社会実装を通じて、食品の長鮮度化と食品ロス削減という二大目標の達成を目指します。

この取り組みは、消費者に対して「より安全で、よりおいしい」食品を提供するだけでなく、食品製造プロセス全体の効率化、環境負荷の低減、そして次世代を担う学生への実践的な教育機会の提供といった、多岐にわたるポジティブな影響をもたらします。福岡を拠点とする九州産業大学と、全国展開するセブン-イレブン・ジャパンの協働は、地域社会から日本全体、さらには世界の食品産業における持続可能性への貢献へと繋がることが期待されます。この連携協定が、今後の食品安全とロス削減の新たなモデルとなることでしょう。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。